これまでこのブログでは、
思考や感情が慢性痛に深く関わっているというお話をしてきました。
けれど正直なところ、
「本当に、考え方や感情だけで体の痛みが変わるの?」
そう疑問に感じている方のほうが、実は多いのではないでしょうか。
長年、痛みを我慢しながら生きてきた中高年の方ほど、
「気のせい」「精神論」と言われることに、
どこか傷ついてきた経験があるはずです。
だから今日は、
思考と感情が、どれほど身体に影響を与えるのかを理解するために、
避けて通れない二つの現象をご紹介します。
プラシーボとノーシーボという現実
● プラシーボ効果
本当は薬効のないもの(偽薬)を使っているにも関わらず、
「効く」と信じたことで症状が改善してしまう現象。
● ノーシーボ効果
本当は無害なものでも、
「これは危険だ」「悪くなる」と思い込むことで、
体調を崩し、時には命に関わる結果にまで至る現象。
これらは「気のせい」ではありません。
医学的にも、数多く報告されている事実です。
そしてここからお話しするのは、
ノーシーボ効果の、あまりにも象徴的な実例です。
「思い込み」で命を終えた男性の話
1970年代初頭、
アメリカ・セントルイス郊外に住んでいた
元靴のセールスマン、サム・ロンド(仮名)。
70代に入った彼は、
ある頃から食べ物が飲み込みにくくなる嚥下障害を感じ、病院を受診しました。
そこで医師から告げられたのは、
「転移性食道がん」という診断。
当時、この病は
「助からない」「余命はわずか」
そう信じられていた病気でした。
医師は重い口調で、
ほぼ死の宣告に等しい説明をしました。
「もう助からない」という前提で進む治療
サムは医師を信頼し、
延命のための手術を受けました。
一時的な回復は見られたものの、
やがて「肝臓にも転移している」という新たな説明を受けます。
「余命は数か月」
そう告げられたサムは、
新婚の妻と共に、妻の実家があるナッシュビルへ引っ越します。
彼の心の中には、
すでに「自分は死ぬ人間だ」という前提が、
深く根を下ろしていました。
彼が生きる気力を失っていた理由
ナッシュビルの病院で担当した医師は、
毛布にくるまり、ほとんど生きる気力を感じられないサムの姿を目にします。
けれど、検査結果は意外なものでした。
・血液検査はほぼ正常
・肝臓の数値も、末期とは言えない
・呼吸にも大きな問題なし
「死にかけの患者」にしては、あまりにも異常が少なかったのです。
医師と関わるうちに、
サムは少しずつ自分の人生を語り始めます。
彼は、すでに一度「生きる意味」を失っていた
最初の妻は、彼にとってかけがえのない存在でした。
ある洪水事故で、
彼だけが奇跡的に助かり、
妻は帰らぬ人となった。
「私の心も魂も、あの夜に一緒に流されてしまった」
その言葉が示す通り、
彼はその時点で、
生きる理由の大部分を失っていたのです。
「クリスマスまでは生きたい」
担当医が
「私に何を望みますか?」と尋ねたとき、
サムはこう答えました。
「今年のクリスマスを、妻とその家族と一緒に過ごしたい。
それだけでいいんです。」
その瞬間から、
彼の体調は驚くほど回復していきました。
目的がある間、人は生きる
退院後、サムはみるみる元気になり、
月に一度の診察のたびに、回復が確認されました。
そして――
クリスマスは無事に迎えられたのです。
しかし、
クリスマスが過ぎた直後、
彼は再び急激に衰弱し、元日に亡くなりました。
死因は「がん」ではなかった
解剖の結果、
誰もが言葉を失いました。
・肝臓のがんはごく小さなもの
・肺のがんも命を奪うレベルではない
・食道に異常は見つからない
つまり――
彼は、がんでは死んでいなかった。
軽い肺炎も見つかりましたが、
それも命に関わるものではありませんでした。
彼は「死ぬと思われ続けた」ことで死んだ
医師も、家族も、周囲の誰もが、
「彼はもう助からない」
そう思っていました。
そして何より、
彼自身が、そう信じていた。
サム・ロンドは、
思考と感情によって、命のスイッチを切ってしまった
そう考えることは、決して非現実的ではありません。
こころねセラピーの視点から
こころねセラピーでは、
「思考がすべて」「気持ちさえ変えれば治る」
そんな乱暴なことは言いません。
けれど、
人は、自分が信じている物語の中で生き、死んでいく
これは、数えきれない臨床経験から確信していることです。
自分軸を失い、
「こうあるべき」「もう年だから」「仕方ない」
そんな言葉を何十年も自分にかけ続けてきた方ほど、
体は正直に、その物語を生きようとします。
思考は、体にとって「命令」になる
この話は、
決して特別なレアケースではありません。
慢性痛も、
原因不明の不調も、
「もう治らない」という前提の中で、
静かに固定されていくことがあります。
だからこそ、
こころねセラピーでは
思考と感情を、体にとって安全な方向へ戻すことを大切にしています。
もしあなたが今、
「もうどうにもならない」
そう思いながら痛みを抱えているなら――
その思考が、
あなたの体にどんな影響を与えているのか。
一度、静かに見つめ直してみてください。
体は、あなたの敵ではありません。
ただ、あなたの“信じてきた物語”を、
忠実に生きているだけなのです。

※無料相談後に継続を強く勧めることはありません
※その場で決める必要はありません
※安心してご利用ください

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