第3回:翻訳機を整える —— 内受容感覚トレーニング

前回まででお伝えしてきたことを、ここで一度整理しましょう。

  • 痛みは「壊れているサイン」とは限らない
  • 慢性痛の背景には、自律神経の過覚醒がある
  • その状態を左右するのが 内受容感覚(interoception) である

そして私は、こう表現しました。

内受容感覚は「身体の状態を翻訳する機能」である

今日は、この「翻訳機」をどう整えるかについて具体的にお話しします。

目次

1. なぜ翻訳機が乱れるのか?

慢性痛を抱えている方の多くは、非常に頑張り屋です。
特に40代・50代の女性に多いのは、こんな傾向です。

  • 自分より家族を優先する
  • 多少の不調は「気のせい」として無視する
  • 休むことに罪悪感がある
  • 感情を外に出さない

この状態が長く続くとどうなるか。

身体からの微細なサイン(疲労・緊張・違和感)が
脳に正しく伝わらなくなります。

すると翻訳機はこう誤作動します。

  • 「少し疲れている」→「まだいける」
  • 「緊張している」→「気合が足りない」
  • 「怖い」→「我慢すべき」

結果として、限界を超えて初めて
「痛み」という強い信号で止めるしかなくなるのです。

慢性痛は、
壊れた身体ではなく、過労した翻訳機の問題でもあるのです。

2. 内受容感覚とは何を感じる力か?

内受容感覚は、以下のような情報を扱います。

  • 心拍
  • 呼吸
  • 胃腸の動き
  • 体温
  • 筋肉の緊張
  • 内側からの「安心」「不安」

これは単なる身体感覚ではありません。

「私は今、安全か?」を測るセンサーです。

慢性痛の方は、
この安全センサーが常に「危険寄り」に傾いています。

だから、

  • 少しの刺激が強い痛みになる
  • 小さな違和感が恐怖になる
  • 不安が増幅する

という現象が起きます。

3. 翻訳機を整えるとは何をすることか?

重要なのは、

痛みを消すことではなく、解釈を整えることです。

翻訳機を整えるとは、

「これは危険か? それとも一時的な変化か?」
を丁寧に再学習させること。

つまり脳の再教育です。

慢性痛は「誤学習」です。
ならば、再学習が可能です。

4. 内受容感覚トレーニング(基礎編)

ここから具体的な方法です。

① 呼吸の観察(評価しない)

1日3分で構いません。

  • 胸が動いているか
  • お腹が動いているか
  • 吸う方が長いか、吐く方が長いか

変えようとしない。
ただ観察する。

これは翻訳機の再校正です。

② 10段階で今の身体を数値化する

「今の緊張は10段階でいくつか?」

これを1日数回、自分に問いかけます。

数値化するだけで、

  • 漠然とした不安
  • 漠然とした痛み

が具体化します。

具体化されると、脳は過剰反応しにくくなります。

③ 「安心ポイント」を探す

痛い場所ではなく、

  • 触れている椅子の感覚
  • 足裏の温度
  • 手のぬくもり

を探します。

慢性痛の脳は、危険探知モードに固定されています。
安心探知モードを再起動させるのです。

5. なぜこれで痛みが変わるのか?

内受容感覚が安定すると、

  • 扁桃体の過活動が下がる
  • 前頭前野の制御が働く
  • 自律神経が安定する

結果として、

痛みの増幅ループが弱まります。

これは精神論ではありません。
神経生理学的プロセスです。

6. 慢性痛の本質的転換

慢性痛の回復は、

「治す」から
「安全を学び直す」へ

視点を変えた瞬間に始まります。

あなたの身体は壊れていない。
ただ翻訳機が疲れているだけ。

そして翻訳機は、
訓練すれば必ず整います。

次回予告

次回は、

「安心が痛みをほどく理由」

なぜ「安心」が最強の鎮痛作用を持つのか。
ポリヴェーガル理論と慢性痛の関係から解説します。

慢性痛の核心に入ります。

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この記事を書いた人

心と体を同時に癒し、あなたらしい人生を取り戻すお手伝いをしています。
子どもの頃、父の厳しいしつけの中で寂しさや孤独感を抱えながら育ち、20代では10年続く慢性腰痛に苦しみました。
しかし、たった1回の心理療法で痛みが消え、同時に心のブロックも解放され「このままでいい」という安心感に包まれた経験が、私の人生を変えました。
その体験をもとに、独自開発の感情開放ボディーワーク、オンサ心理療法、チャクラヒーリングを組み合わせ、平均1〜3回のセッションで心身の不調や慢性痛にアプローチしています。
あのとき私が感じた“解放感と安心感”を、今度は多くの人に届けたい——それが、私の活動の原動力です。

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