—— がんばり屋さんのあなたへ。心と体の深い関係を、科学はこう語っています
「ストレスは体に悪い」
それはもう、聞き飽きるほど聞いてきた言葉かもしれません。
でも、こころねセラピーに来られる多くの方が、こうおっしゃいます。
「自分がストレスを感じているなんて思っていませんでした」
「怒っているつもりも、落ち込んでいる自覚もないんです」
それでも、体は正直です。
胸の苦しさ、動悸、原因のわからない疲労感。
もしかするとそれは、あなたが長い間、心にしまい込んできた感情からのサインかもしれません。
実は、私たちの感情が心臓の健康に直接影響することを示した、信頼性の高い科学的研究があります。
2005年に発表された Suls & Bunde の研究です。
今日は、セラピストとして多くの方の心と体に触れてきた視点から、
この研究が教えてくれる「3つの大切な真実」をお伝えします。
1.「怒り」や「不安」は、静かに心臓を疲れさせていく
日常の中で、こんな感情を感じていませんか?
- 理不尽なことを言われても、笑って飲み込む
- 先のことが心配で、頭が休まらない
- 本当は怒っているのに、「私が我慢すれば」と抑えてしまう
Suls & Bunde(2005)の研究では、
怒りや不安を感じやすい人は、将来、心血管の病気を起こすリスクがわずかに高くなることが示されました。
「わずかに」と聞くと、たいしたことがないように感じるかもしれません。
でも、ここで大切なのは、
“日々の小さな感情の積み重ねが、長い時間をかけて体に影響する”
という事実です。
こころねセラピーに来られる方の多くは、
怒りや不安を「感じてはいけないもの」として、ずっと心の奥に押し込めてきました。
体は、その代わりに症状という形で声を上げ始めるのです。
2.本当に注意が必要なのは「抑うつ」という感情
この研究で、最も強い影響を示した感情があります。
それが 「抑うつ」 です。
抑うつ症状を持つ人は、
怒りや不安を感じている人よりも、心臓の病気になるリスクがはっきりと高いことが分かりました。
ここで誤解してほしくないのは、
抑うつ=「重いうつ病」という意味ではありません。
- 何をしても楽しく感じられない
- 気力が湧かない
- 自分を責める思考が止まらない
- 「もう十分がんばった」と思えない
こうした状態が長く続いていること自体が、
心と体にとっては大きな負担なのです。
セラピストとして感じるのは、
抑うつの背景には「がんばりすぎ」と「我慢の習慣」があるということ。
抑うつは弱さではありません。
それは、あなたが限界まで耐えてきた証なのです。
3.この話が「気のせい」ではない理由
「でも、感情と心臓なんて、本当に関係あるの?」
そう思われるのも自然です。
この研究が信頼できる理由は、
メタ分析という方法が使われているからです。
メタ分析とは、
一つの研究ではなく、数多くの質の高い研究結果を統合して導き出した結論のこと。
つまりこれは、
誰か一人の意見や体験談ではなく、
多くの研究者たちが一致して見出した“心と体の事実”
なのです。
セラピストとして、あなたに伝えたいこと
この研究が教えてくれる最も大切なメッセージは、
「怖がりなさい」ということではありません。
気づいてあげてほしい、ということです。
血圧や血糖値を気にするように、
あなたの「心の状態」も、同じくらい大切にしていいのです。
- 今日は、どんな感情を飲み込みましたか?
- 本当は、何を感じていましたか?
- 「大丈夫」と言いながら、無理をしていませんか?
こころねセラピーでは、
症状だけでなく、その奥にある感情の声に耳を傾けていきます。
もし今、
「少し立ち止まってもいいのかもしれない」
そんな気持ちが芽生えたなら、それはとても大切なサインです。
まずは、今日の自分の心に、そっと問いかけてみてください。
「私は、本当はどう感じている?」
その問いかけが、
心と体をやさしく回復へと導く、最初の一歩になります。


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