——こころねセラピーのセラピストから、痛みに悩むあなたへ——
3ヶ月以上続くつらい痛み。「いつまで続くの?」「私の身体はどうなっているの?」
そう感じているあなたへ、まずお伝えしたいことがあります。
痛みは “身体だけの問題” ではありません。
最新の医学は、痛みが心・脳・性格・遺伝・社会環境…さまざまな要因が絡み合った
「生物心理社会的な現象」であることを明らかにしています。
この記事では、世界中の最新研究から、あなたの痛みの理解を根本から変える
驚きの事実 5つを、こころねセラピーの視点でやさしく解説します。
読み終える頃には「痛みとの向き合い方」がきっと変わっているはずです。
1. 驚愕の事実:慢性痛を持つ人の「5人に2人」は、心の問題も抱えている
こころねセラピーにいらっしゃるクライアントさんの多くが、
「痛みと同じくらい心もつらい」とお話しされます。
実はこれは感覚ではなく、世界規模のデータが裏付けています。
- 慢性痛の成人の約40%(=5人に2人)が、臨床的なうつ病または不安障害を併発している
— 347,468人を対象としたメタ解析(JAMA Network Open)
この数値は一般人口と比べて非常に高く、研究者たちはこの状況を
「staggering(衝撃的)」 と表現しました。
つまり、痛みと心の問題は切り離せないどころか、
深く結びついた “一つの現象” として起こっているのです。
2. 遺伝子の逆説:「痛み」と「うつ」の遺伝子は別物。だが、痛みの遺伝子が抗うつ薬を効きにくくする
「痛みがあると落ち込むのは性格のせい…?」
そう思って自分を責めている方はとても多いのですが、研究はまったく違う答えを示しました。
オーストラリア・クイーンズランド大学の最新研究では:
● 発見①
痛みの遺伝的リスクと、うつ病の遺伝的リスクには関連がない。
つまり、痛みとうつが同時に起こるのは「同じ遺伝子のせい」ではない。
● 発見②
痛みの遺伝的リスクが高い人ほど、抗うつ薬が効きにくい傾向がある。
こころねセラピー的に言えば、
「痛みが長く続くストレスに脳が疲れ果て、うつ状態を起こしてしまう」
という流れのほうが実態に近いのです。
だからこそ、痛みとうつを切り離して考えるべきではありません。
3. 若者の痛み:「不安」は痛みの結果ではなく、痛みを長引かせる「原因」だった
若い方の痛みにも、心の要因が深く関わっています。
あるメタ解析の結果では:
- 慢性痛の若者の約1/3が不安障害を併発
- 約1/8が抑うつ障害を併発
さらに重要なのは、
「不安」が痛みの“結果”ではなく、痛みを維持し悪化させる“原因”になっていた
という点です。
「この痛み、どうなるんだろう…」
そうした将来への恐怖が、脳の痛みシステムを敏感にしてしまうのです。
4. 性格も関係する?「心配性」や「リスクを避けすぎる気質」が慢性化の引き金に
畿央大学の研究では、
- 特性不安(もともと不安を抱きやすい性質)
- 損害回避気質(リスクを避けすぎる傾向)
が強い人ほど、痛みが長期化しやすいことが示されました。
これは「性格が悪い」という話ではなく、
脳の警報システムが敏感になりやすいということです。
こころねセラピーでよくお伝えしている「疼痛—恐怖回避モデル」も同じ。
- 痛みを「危険のサイン」と過剰に捉える
- 身体を動かすことを避ける
- 体力低下 → 孤立 → 気分の落ち込み
- 脳がより敏感になり、痛みが強く感じられる
この悪循環が、慢性痛を固定化してしまうのです。
5. 医療システムの盲点:最も助けが必要な患者が、研究から「除外」されてきたという事実
そして、あなたの痛みが長引く最後の理由は驚くべきものです。
実は…
● 慢性痛の臨床試験のうち
約59%が「うつ・不安を併発する患者」を除外していた
——1981〜2018年の346件のRCTを分析した大規模レビュー
これは、最も苦しんでいる患者(慢性痛+心の不調を併せ持つ人)が、
研究そのものから外されてきたということを意味します。
だからこそ、「標準治療」と呼ばれるものが、
実際の患者さん(約40%が併存症あり)にどれほど効果があるのか、
十分なエビデンスが存在しないという問題が起きています。
こころねセラピーでもよく感じることですが、
痛みの専門家は“身体”を診る、精神科医は“心”を診る。
痛みと心は分けられないのに、
医学システムはそこがまだ統合されていないのです。
まとめ:痛みへの見方を変える、はじめの一歩
今回の5つの研究が示しているメッセージはひとつ。
✔︎ 慢性痛は「身体の問題」だけではない
✔︎ 遺伝、気質、精神状態、生活環境、医療システム…複雑に絡みあう現象である
つまり、
身体だけを治そうとしても、痛みの“半分”しか見ていない
ということです。
こころねセラピーでは、
身体・心・脳・環境を一つの“全体”として扱い、
あなたの痛みの背景にあるストーリーを一緒に読み解いていきます。
痛みを「ただの身体的な感覚」ではなく、
あなたの人生・心・生き方と深く結びついた“シグナル”として見つめ直す。
この視点の変化こそが、長い痛みのトンネルを抜ける
最初の一歩になります。


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