こんにちは。静岡・沼津・三島・函南のこころねセラピーの秋山幸徳です。
「頭ではもっと楽に考えればいいとわかっているのに、心がついてこない」 「カウンセリングや本で学んでも、結局同じ行動パターンを繰り返してしまう」
こうした「理屈では説明できない苦しさ」の裏側には、私たちが心のブロックと呼んでいる、非常に強固な心理メカニズムが隠れています。今回は、このブロックがどのように形成され、私たちの心理的問題を引き起こすのか、学術的な視点から解説します。
1. 「スキーマ」:世界を解釈するための歪んだレンズ
心理学の世界(特に認知行動療法)では、心のブロックを「早期不適応的スキーマ」という概念で説明します。
スキーマとは、幼少期から青年期にかけて形成される、自分自身や他者、世界に対する「根源的な信念」のことです。 例えば、「私は愛されない(欠陥スキーマ)」や「人は私を裏切る(不信スキーマ)」といった強固な思い込みがあると、脳はすべての出来事をそのレンズを通して解釈するようになります。
たとえ誰かが親切にしてくれても、レンズが歪んでいると「何か裏があるに違いない」と変換されてしまい、結果として安心感を得ることができなくなります。これが、努力しても人間関係が改善しない大きな要因の一つです。
2. 神経可塑性と「長期増強(LTP)」
なぜ、これほどまでに古い記憶が大人になっても消えないのでしょうか。そこには脳の物理的な仕組みが関係しています。
脳科学において、神経細胞(ニューロン)同士のつながりが強化される現象を長期増強(LTP: Long-Term Potentiation)と呼びます。幼少期の強烈な感情を伴う体験(恐怖、寂しさ、拒絶など)は、このLTPによって脳内に「高速道路」のような強固な神経回路を作り上げます。
大人になってから「前向きに考えよう」としても、それは新しく細い脇道を作ろうとしているようなもの。ストレスがかかると、脳は生存本能として、慣れ親しんだ「負の高速道路(心のブロック)」を無意識に選択してしまうのです。
3. 心理的問題を増幅させる「条件付きの自己価値」
多くの方が抱える「自己肯定感の低さ」も、心のブロックが深く関与しています。心理学者のカール・ロジャーズが提唱した「評価の条件」という概念があります。
「テストで良い点を取った時だけ褒められた」「お母さんの手伝いをした時だけ愛された」といった体験が繰り返されると、子供は「条件を満たさない自分には価値がない」というブロックを作ります。
これが大人になると、
- 過度な完璧主義(失敗=愛されないという恐怖)
- 他人軸の生き方(他人の期待に応えないと居場所がない) といった心理的問題となって現れます。どんなに成果を出しても「まだ足りない」と感じてしまうのは、心の奥底にあるこの「条件」が解除されていないからです。
4. 感情の凍結と「未完の完了」
ゲシュタルト療法では、過去の抑圧された感情を「未完了の体験」と呼びます。 ※シチュエーション1のYさんやシチュエーション2の俊夫君のように、その場で表現しきれなかった「悲しみ」「怒り」は、解消されるまで心の奥底に残り続け、完了を求めて似たようなシチュエーションを引き寄せようとします。
これを精神分析では「反復強迫」と呼びます。 無意識に自分を傷つける相手を選んだり、わざと相手を怒らせるような行動をとってしまうのは、過去の「未完了の傷」を今度こそ癒そうとする、心の痛切な試みなのです。しかし、ブロックに気づかない限り、その試みは再び傷つくという結果を繰り返してしまいます。
※ブログ記事「なぜか繰り返される「生きづらさ」。その正体は、幼い頃の記憶に隠れているかもしれません。」を参照してください。
5. こころねセラピーが目指す「神経系の再構築」
これらの学術的な背景を踏まえると、心のブロックを外すということは、単に「考え方を変える」ことではありません。
- 扁桃体の沈静化: 過去の記憶に反応する脳の過敏さを抑える。
- 未完了の完了: 抑圧されていた感情を安全に解放し、過去を「終わったこと」にする。
- 新しい回路の形成: 「ありのままの自分で安全である」という新しい神経のつながりを育てる。
こころねセラピーは、これらを短時間で、かつ心身に負担の少ない形で進めていきます。
最後に:あなたは書き換える力を持っている
「私の悩みは、脳の仕組みや過去のせいで固定されているの?」と不安に思うかもしれません。 しかし、脳には**「神経可塑性」**という、一生涯を通じて変化し続ける素晴らしい能力が備わっています。
適切なアプローチで心のブロックに気づき、癒やしていくことで、何十年と続いた負のパターンを書き換えることは、何歳からでも可能です。
こころねセラピーは、あなたが長年抱えてきた「目に見えない重荷」を降ろすお手伝いをしています。一人で頑張ることに限界を感じたら、ぜひ一度ご相談ください。



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