なぜか虚しいあなたへ。人生に「張り」を取り戻す3つの逆説的な教え

「幸せですか?」と聞かれても、自信を持って「はい」とは答えられない。
かといって、不幸なわけでもない。

特に不満があるわけではないのに、ふとした瞬間に、心の奥底にべったりと張り付いたような正体不明の虚しさを感じる……。

もしあなたがそんな感覚を抱いているなら、それはあなただけが感じる特別なものではありません。

私が日々、こころねセラピーでお会いしている方々の中にも、「体の痛み」や「疲れ」を訴えながら、その奥に深い“虚しさ”を抱えている方が少なくありません。
そんな心の状態を解き明かす手がかりをくれるのが、心理学者ヴィクトール・フランクルの教えです。

ナチスの強制収容所を生き延びた体験を記した『夜と霧』の著者として知られるフランクルの言葉は、極限状況を生き抜いた人間の洞察に裏打ちされた、圧倒的な重みを持っています。

この記事では、フランクルの教えの中から、現代人が抱える「虚しさ」を解消し、人生に「張り」を取り戻すための、逆説的でありながらも核心をつく3つの教えを、セラピストの視点でお伝えします。

目次

その虚しさには名前がある:「実存的空虚」というサイン

あなたが感じている、原因がはっきりしない漠然とした虚しさ。
フランクルはそれを「実存的空虚」と名付けました。

特に、日常生活の中で時折意識される「なぜか、毎日が、なんとなく虚しい」という感覚は、「慢性型」の実存的空虚と呼ばれます。

原因がわからない不安は、私たちをさらに消耗させます。
しかし、自分の感情に名前がつくことで、私たちは少しだけ客観的になり、安心感を得ることができます。

では、なぜこの虚しさは生まれるのでしょうか。

フランクルが紹介するある大学生の手紙には、この「意味の喪失」が友人を死に追いやった痛切な叫びが綴られていました。
彼はその根本原因を、人間の「意味への意志」にあると指摘しました。

これは「自分の人生に意味を見出そうとする努力は、人間の内なる根源的な動力である」という考え方です。
人間は、自分の人生に意味を求めずにはいられない生き物なのです。
その根源的な動力が満たされないとき、私たちの心には「実存的空虚」という穴が空いてしまいます。

フランクルは、意味を見出すことの重要性をこう語っています。

人生には意味があるのだと知っていることほど、
最悪の条件にあってすら
人間を立派に耐えさせるものはほかにありません。

その虚しさは、欠陥のしるしではありません。
あなたの心が、本来持つべき「意味」を渇望している、健全なサインなのです。

逆境を乗り越える力:「使命」を意識する

フランクルは、強制収容所という地獄のような環境で、ある重要な事実を発見しました。
それは、あまりにも悲惨な状況下で、心を強く保ち耐え抜いた人々と、そうでない人々との間には明確な違いがあったということです。

逆境に屈しなかった人々は、「満たすべき使命が自分を待っている」ことを知っていました。

彼自身もその一人でした。

フランクルは収容される前、ロゴセラピー(彼が創始した心理療法)に関する原稿を書き上げていましたが、収容所で没収されてしまいます。
彼は、この失われた原稿を再現し、出版することを自らの「使命」としました。

この「書くべき原稿がある」という使命感が、彼を死の淵から引き戻し、高熱の病床にあってもなお、死に至る発疹チフスに打ち克つ力となったのです。

自分を待っている「何か」、自分がすべき「こと」の存在が、彼に生きる力を与えたのです。

これは単なる目標設定とは異なります。
「使命」という言葉が持つ重みは、人生がどんなに不条理で過酷であっても、私たちを内側から支える揺るぎない柱となります。

私の施術を受けに来られる方の中にも、「もう頑張れない」と涙を流される方がいます。
でも、その方が少しずつ自分の“使命”や“役割”を見出していく過程で、体の力が戻り、表情が変わっていく瞬間を、私は何度も見てきました。
人は「意味を持って生きる」とき、内側から再びエネルギーが湧き上がるのです。

本当に必要なのは安らぎではない:「良い緊張」こそが心を強くする

フランクルのこの壮絶な体験こそが、彼の教えの中でも最も逆説的で、しかし最も力強い結論へと繋がっていきます。

彼は、人間が本当に必要としているのは、安らぎや「緊張のない状態」ではない、と断言します。

むしろ、使命を意識し、それに向かって努力し、苦闘する中で生まれる「緊張」こそが、人生に意味と張りをもたらすのだと説きます。

これは、ただ消耗するだけのストレスとは全く異なる「良い緊張」です。

私たちはつい、悩みや苦しみのない平穏な状態を理想として求めがちです。
しかしフランクルによれば、それは心の健康にとって必ずしも良い状態ではありません。

乗り越えるべき壁があり、達成すべき課題があるからこそ、私たちの心は活性化し、生きる意味を実感できるのです。

彼の思想の核心は、次の言葉に集約されています。

人間が本当に必要としているものは緊張のない状態ではなく、
彼にふさわしい目標のために努力し苦闘することなのです。
彼が必要としているのは、是が非でも緊張を解除するということではなく、
彼によって充足されることを待っている可能的意味の呼びかけなのです。

ここで言う「可能的意味の呼びかけ」とは、
“まだ形になっていないけれど、あなたに実現してほしい何か”が、心の奥で静かにあなたを呼んでいるということです。

それは「誰かを癒したい」「大切な人を支えたい」「この仕事を通して何かを残したい」といった、
小さくても確かな“使命の種”のようなものです。

その呼びかけに耳を傾け、少しずつ応えていくことこそが、虚しさを生きる力へと変える道なのです。

虚しさを埋めるために必要なのは、緊張からの逃避ではなく、意味ある目標に向かう「良い緊張」を受け入れることなのです。

3つの教えをもう一度、心に留めてみましょう

  1. 虚しさの正体を知る:あなたの虚しさには「実存的空虚」という名前があり、それは人生が意味を求めている健全なサインである。
  2. 使命を持つ:自分を待っている「何か」や「こと」を意識することが、逆境を乗り越える力になる。
  3. 良い緊張を受け入れる:平穏ではなく、使命に向かって苦闘する中で生まれる「良い緊張」こそが、人生に張りをもたらす。

これらの教えは、人生の大きな危機に直面したときだけでなく、
平穏な日常の中でふと襲ってくる虚しさを乗り越えるための、普遍的な力を持っています。

あなたにとっての「可能的意味の呼びかけ」は?

あなたにとって、充足されることを待っている「可能的意味の呼びかけ」とは何でしょうか?

それは、誰かのための小さな行動かもしれませんし、長く眠っていた夢の種をもう一度芽吹かせることかもしれません。

心の痛みや虚しさは、決して「壊れた証」ではなく、
「意味を探しにいこう」という魂からのサインです。

こころねセラピーでは、そのサインを無視せず、
あなたの中にある“生きる意味”をもう一度見つけていくお手伝いをしています。

どうか今日という日が、あなたの人生の「張り」を取り戻す最初の一歩になりますように。

※この記事は、心理学者ヴィクトール・フランクルの思想をもとに、こころねセラピーのセラピストの視点からお伝えしています。

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この記事を書いた人

心と体を同時に癒し、あなたらしい人生を取り戻すお手伝いをしています。
子どもの頃、父の厳しいしつけの中で寂しさや孤独感を抱えながら育ち、20代では10年続く慢性腰痛に苦しみました。
しかし、たった1回の心理療法で痛みが消え、同時に心のブロックも解放され「このままでいい」という安心感に包まれた経験が、私の人生を変えました。
その体験をもとに、独自開発の感情開放ボディーワーク、オンサ心理療法、チャクラヒーリングを組み合わせ、平均1〜3回のセッションで心身の不調や慢性痛にアプローチしています。
あのとき私が感じた“解放感と安心感”を、今度は多くの人に届けたい——それが、私の活動の原動力です。

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